白い気配がない

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「まだうんと小さい頃、パンの耳のあの、かたくてむぎゅって噛まなくちゃいけないのが好きじゃなかったの」


「いまはどうなの?」


「今はスーパーのものは相変わらずだけど、茶店やパン屋さんのものなら。寧ろ好んで食べるくらい。大人になったのかな」


「そうだね。味覚はわからないけど、少しずつ。一人で出かけるの好きでしょう」


貴方もね。と言うとにやり、と子供みたいに歯を見せた。